退職金に係る税金は?
退職金を受け取った場合、所得税及び住民税が課税されます。
この所得税及び住民税の額を計算するもとになるのが退職所得の金額です。
退職所得の金額の求め方
退職所得は下記の計算式によって求めます。
所得税の計算方法
所得税は下記の計算式により求めます。
所得税額 = 退職所得の金額(A) × 税率(B) - 控除額(C)
税額表 (令和元年分)
A 課税退職所得金額 | B 税率 | C 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
住民税の計算方法
退職金の額 × 10%
会社から退職金を受け取った場合、確定申告は必要!?
退職金を受け取る場合、通常は退職の前に『退職所得の受給に関する申告書』を記載し、勤務先に提出します。
この『退職所得の受給に関する申告書』を提出することで、所得税及び住民税の額が正しく計算され、退職金の額から源泉徴収されることとなるため、その後、退職金を受け取った際に確定申告をする必要はありません。
『退職所得の受給に関する申告書』を提出しなかったらどうなる?
『退職所得の受給に関する申告書』を提出しなかった場合には、正確な所得税の金額が計算されないこととなり、受け取る退職金の額から一律20.42%の税率で所得税が課税され、退職金の額から控除されることとなります。
所得税の計算方法
退職金の支給額 × 20.42%
この場合、通常の退職金に係る税額より多く税金が控除されることとなる為、後日、確定申告をして納めすぎた税金を取り戻してください!
住民税の計算方法
住民税に関しては 『退職所得の受給に関する申告書』 の提出の有無にかかわらず一律10%が徴収されます。
退職金の額 × 10%
退職所得の源泉徴収票
『退職所得の受給に関する申告書』 を提出している場合には、赤の枠線で囲まれたところに退職金の額及び税額が記載されます。
『退職所得の受給に関する申告書』 を提出していない場合には、青の枠線で囲まれたところに退職金の額及び税額が記載されます。
確定申告をした方がお得になる!?
『退職所得の受給に関する申告書』 を提出している場合は確定申告をする必要はありません。
しかし、給与所得が少ない場合や、副業などで赤字が出ている場合などは 、『退職所得の受給に関する申告書』 を提出していても、確定申告をすることで税金の還付を受けられる場合があります。
還付を受けられる可能性がある場合は確定申告をしましょう!
住民税の課税の時期が異なります
退職金は分離課税の方法で税金が課税されます。
通常、個人の住民税は前年中の所得に対してその翌年に課税する方法がとられます。
なので、もし仕事を退職などした場合、退職した翌年に、退職前の所得に応じた住民税が課税されるので、その時に無職の場合、支払いが困難になることがあります。
これに対して退職金については、その性質を考慮し、他の所得と分離して退職所得の発生した年に課税する方法がとられています。
つまり、退職所得の発生した年に他の所得と区分して課税されます。
といっても、退職金の額から直接控除されて、残りが支払われるので、実際に退職金を受け取った段階でもう支払いは完了していることになります!
配偶者控除や扶養控除の対象となっている人が退職金を受け取った場合
配偶者控除や扶養控除の対象となっている人が退職金を受け取った場合、どうなるのでしょう?
退職所得の金額も含んだ額で、配偶者控除や扶養控除の適用ができるかどうかを判定します。
つまり、例えば、給与所得が38万円以下であっても、退職所得が20万円あれば、合計所得が58万円となり、配偶者控除及び扶養控除の適用範囲から外れることとなります。
※ここでいう金額はあくまでも“所得”であって“収入金額”ではないので注意してください。
まとめ
退職金には、所得税と住民税の両方が課税されます。
退職金の支払い時にそのどちらもが控除されて支払われるので、受け取った本人が後日支払うべき税金が発生することはありません。
しかし、その年の確定申告をするべきかどうかは、退職金以外の所得の金額や、『退職所得の受給に関する申告書』の提出の有無などに左右されます。
確定申告をした方が有利な場合には必ず確定申告をするようにしましょう!
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