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新型コロナウイルスの影響による役員報酬の期中減額は可能か!?

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役員報酬にはルールがある

役員に対して支払う給与は、次の三つの要件のいずれかを満たしている場合にのみ、法人税の計算をする上で経費(損金といいます)として認められます。

条件1

定期同額給与

条件2

事前確定届出給与

条件3

利益連動給与

定期同額給与とは

一か月以下の期間ごとに支給される給与で、その事業年度の各支給時期における支給額または手取り額が同額である給与のことをいいます。

簡単にいうと、【事業年度の途中で役員に支払う給与の額面または手取り額を変更してしまうとダメ!】ということです。

事前確定届出給与とは

あらかじめ定めた支給時期・支給額に基づき支給する給与のことを言います。

事前確定届出給与とは、誰にいつ、いくら支払うかをあらかじめ税務署に届出をした給与のことを言います。

税務署への届け出期限:事業年度開始の日から4ヶ月を経過する日と株主総会等の決議をした日から1月を経過する日のいずれか早い方の日が期限とされています。

利益連動給与とは

利益連動給与とは、下記の給与を言います。

  1. 利益の状況を示す指標、株式の市場価格の状況を示す指標その他の法人又はその法人との間に支配関係がある法人の業績を示す指標を基礎として算定される額又は数の金銭又は株式若しくは新株予約権による給与
  2. 特定譲渡制限付株式若しくは承継譲渡制限付株式又は特定新株予約権若しくは承継新株予約権による給与で無償で取得され、又は消滅する株式又は新株予約権の数が役務の提供期間以外の事由により変動する給与

利益連動給与は少し複雑なのでまた別の機会に書くこととします。

役員報酬の期中減額は可能か!?

上記で述べたとおり、役員報酬が損金として認められるためには上記の条件1に記載した通り 【一か月以下の期間ごとに支給される給与で、その事業年度の各支給時期における支給額または手取り額が同額】である必要があります。

では、事業年度の途中で役員報酬の額を変更する方法はないのでしょうか?

役員報酬の額を変更するためには下記の3つの方法があります。

方法1

通常改定

方法2

臨時改定事由による改定

方法3

業績悪化改定事由による改定

通常改定とは

役員報酬の額は、事業年度終了の日以降2ヶ月以内に開催される定時株主総会で決議することとなります。

この決議内容に従って、翌事業年度開始の日以降3か月以内に役員報酬の額を変更する場合にのみ、役員報酬の額の変更は認められます。

正しくいえば、 事業年度開始の日以降3か月以内でなくても役員報酬を変更することは可能です。

ただし、3か月を過ぎてから変更した場合には、一定の額が法人税の計算上損金として認められないこととなります。

つまり、税金の額が増えるというデメリットがあります。

臨時改定事由による改定

臨時改定事由とは、

役員の職制上の地位の変更や、役員の職務の内容の重大な変更、その他これらに類するやむを得ない事情による変更をいいます。

例えば、

・役員が任期の途中で退任した

・従業員が期の途中で役員に就任した

・役員の地位に変更があった

・役員が病気で入院したことにより当初予定されていた職務の執行が一 部できないこととなった

などがこれに該当します。

業績悪化改定事由による改定

業績悪化改定事由とは、

経営の状況が著しく悪化したこ とその他これに類する理由による変更をいいます。

これは、財務諸表の数値が相当程度悪 化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じている場合のことを指します。

例えば、

【例①】株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合(株主が不特定多数の者からなる法人の場合)

【例②】取引銀行との間で行われる借入金返済のリスケジュールの協議において、役員給与の額を減額せざるを得ない場合

【例③】業績や財務状況又は資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維 持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給 与の額の減額が盛り込まれた場合

などが該当します。

上記【例①】の注意点としては、 同族会社のように株主が少数の者で占められ、かつ、役員の一部の者が株主である場合や株主と役員が親族関係にあるような会社については、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できるようにしておく必要があるということです。

上記【例②】の注意点は、取引銀行との協議状況等が説明できる資料を保存しておく必要があります。

上記【例③】に該当するかどうかについては、経営状況の改善を図るための計画を策定し、利害関係者から開示等の求めがあればこれに応じる必要があります。

なお、上記以外の場合においても経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情があるときには、役員報酬を減額することが可能です

この場合には、役員給与の額を減額せざるを得ない客観的な事情を具体的に説明できるようにして おく必要があります。

注意

業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益を調調するという目的で減額改定を行う場合には、業績悪化改定事由に該当しないので注意してください。

現状では悪化しているとは言えない場合

現状では売上や経常利益などの会社経営上の数値的指標が悪化しているとまではいえない場合、業績悪化改定事由として認められる音はあるのでしょうか?

国税庁の役員給与に関するQ&Aには下記のような例が挙げられています。

例えば、

売上の大半を占める主要な得意先が1回目の手形の不渡りを 出したため、その事情を調べたところ、得意先の経営は悪化していてその事業規模を縮 小せざるを得ない状況にあることが判明。
数か月後には当社の売上が激減することが避けられない状況となった。
そこで、役員給与の減額を含む経営改善計画を策定し、今月から役員給与を減額する旨を取締役会で決議した。

上記のような場合にも、業績悪化改定事由として認められる場合があります。

Q&Aによると、「現状では数値的指標が悪化しているとまではいえないものの、役員給与の 減額などの経営改善策を講じなければ、客観的な状況から今後著しく悪化することが不可避と認められる場合には、業績悪化改定事由に該当する」ものと記載されています。

また、「今後 著しく悪化することが不可避と認められる場合であって、これらの経営改善策を講じたことにより、結果として著しく悪化することを予防的に回避できたときも、業績悪化改定事由に該当する」とされています。

これらはあくまでも“客観的な状況”によって判断する必要があるため、客観的な状況がない単なる将来の見込みにより役員給与を減額した場合は業績悪化改定事 由による減額改定に当たらないことになるため注意してください。

なお、役員給与を減額するに当たり、会社経営上の数値的指標の著しい悪化が不可避と判断される客観的な状況としてどのような事情があったのか、 経営改善策を講じなかった場合のこれらの指標を改善するために具体的にどのような計画 を策定したのか、といったことを説明できるようにしておく必要がありますので、留意し てください。

新型コロナウイルスの影響による役員報酬の期中減額は可能か!?

新型コロナウイルスにより職務を執行できない場合、これは【臨時改定事由】にあたります。

つまり業務を執行できない期間については役員報酬を期中減額することが可能です。

新型コロナウイルスの影響で業績悪化改定事由による減額も検討できる

新型コロナウイルスの影響による役員報酬の期中減額についてですが、新型コロナウイルスによる業績悪化や財務状況、資金繰りの悪化により、借入金の返済や取引先への支払いが厳しい状況になった場合、もしくはなると予測される場合には上記の通り【業績悪化改定事由】に該当し、役員報酬の期中減額が認められます。

この場合、上記の通り経営改善計画や資金繰り表等を作成し、客観的に業績が悪化していることを説明できるようにする必要があります。

また、役員報酬の減額には株主総会による決議が必要です。期中変更であれば臨時株主総会を開催し、減額変更の議事を行うこと、及び総会議事録を作成し保管して負う必要があります。議事録には、役員報酬の変更後の額と、変更に至った理由をしっかり記載しておきましょう。

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