これまでは、“ひとり親”であっても「離婚や死別」の場合と「未婚」の場合で税制上の取り扱いが異なっていました。
しかし本年の改正により、すべてのひとり親に対して公平に取り扱われることとなりました。
これまでのひとり親に対する税制【寡婦控除・寡夫控除】
これまでは、配偶者と離婚もしくは死別によって“ひとり親”となった場合にだけ、寡婦控除または寡夫控除と呼ばれる所得控除の制度がありました。
言葉で説明すると分かりにくいので下記の表にまとめました。
納税者が女性の場合
上記の表にあてはまる黄色の部分の金額が‶寡婦控除”として所得の計算をする際に、課税所得の金額から控除されていました。
納税者が男性の場合
上記の表にあてはまる黄色の部分の金額が‶寡夫控除”として所得の計算をする際に、課税所得の金額から控除されていました。
新しいひとり親に対する税制【ひとり親控除・寡婦控除】
今回新たに創設されたひとり親控除は、離婚・死別・未婚にかかわらず“ひとり親”であるかどうかにより控除の適用の有無が判断されます。
下記の表のピンク色の部分が‶ひとり親控除”と呼ばれる控除の適用を受ける範囲です。
ちなみに寡婦控除の適用範囲も今回見直されています。寡夫控除については下記で改めて説明します。
納税者が女性の場合
納税者が男性の場合
ひとり親控除の適用範囲
① 婚姻暦や性別にかかわらず生計を同じとする子(合計所得金額が48万円以下)を有するひとり親であること
寡婦控除も残ります
ひとり親の適用範囲に含まれない子以外の扶養親族を持つ寡婦に対しては、500万円以下という所得制限を設けたうえで「寡婦控除」の制度が引き続き残ります。
(※下記の表の水色部分が寡婦控除にあたります)
☆納税者が女性の場合
なお、納税者が男性の場合の「寡夫控除」の制度はなくなったので注意してください
適用時期
令和2年分以降の所得税について適用されます。
令和2年は月々の源泉徴収には影響ありません
令和2年分の源泉徴収事務においては、月々の給与等及び公的年金等に対する源泉徴収では改正前の控除が適用されます。
その後、年末調整で改正後の控除が適用され、精算されることとなります。
事実婚の場合は注意が必要
住民票の続柄に「未届けの夫」または「未届けの妻」の記載がある場合、寡婦控除およびひとり親控除のいずれについても対象外となるので注意してください。
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