配当所得は申告するほうが有利?不利?

個人の税金(所得税・贈与税)

配当所得は申告するほうが有利?(所得税)

上場株式の配当金については、①~③の申告方法を選択することができます。(詳しくは下の方に書きます)


① 総合課税による申告
② 分離課税による申告
③ 確定申告不要制度


では、どの方法で申告するのが一番有利になるのでしょうか?

有利な方法とは、ずばり、❝所得税・住民税ともに税率が低いほう❞が有利なわけです。

所得税は、累進課税といって、所得金額が増えるほど、税率が高くなる仕組みになっています。
なので、ちょっとややこしいのですが、下記の表のようになります。

課税所得金額 累進税率   配当控除   実質税率   源泉徴収 
税率  
有利・ 
不利
195万円以下   5% 10% 0% 15%有利
195万円超~
330万円以下
10% 10% 0% 15% 有利
330万円超~
695万円以下
20% 10%10% 15% 有利
695万円超~
900万円以下
23% 10%13% 15% 有利
900万円超~
1,000万円以下
33% 10%23% 15%不利
1,000万円超~
1,800万円以下
33% 5%28% 15% 不利
1,800万円超~
4,000万円以下
40% 5%35% 15% 不利
4,000万円超 45% 5%40% 15% 不利

つまり、課税所得金額が900万円以下の場合には総合課税により申告をする方が有利となります。

ちなみに申告分離課税による申告が有利になる場合とは、株式の譲渡により譲渡損が出ている場合です。この場合譲渡損と配当所得との相殺をすることができるので有利となります。

住民税の申告はしないほうが有利!

住民税は総合課税で申告をすると常に不利になります。

課税所得金額    累進税率    配当控除    実質税率    源泉徴収  
税率   
有利・不利
1,000万円
以下
10% 2.8% 7.2% 5%不利
1,000万円超    10% 1.4% 8.6% 5%不利

ただし、所得税を総合課税で申告した場合、そのまま何もしないと住民税は自動的に総合課税となってしまいます。

住民税のみ申告不要とする場合は、所得税申告書の提出とは別に、個人住民税の納税通知書が送達される時までに、市区町村への住民税申告書の提出が必要となりますので必ず提出するようにしてください。

具体的な手続きについては、市区町村にお問合せください。

配当所得の計算方法

ここからは具体的に配当所得の計算についてみていきます。

配当所得の金額は、次のように計算します。

配当金額-株式などを取得するための借入金の利子= 配当所得の金額

※注意
譲渡した株式に係るものや確定申告をしないことを選択した配当に係るものについては、収入金額から差し引くことができる借入金の利子にはあたりません。

源泉徴収

配当金からは、支払の際にすでに源泉徴収として所得税・住民税が控除されています。

控除されている所得税等は下記の計算方法により計算した額です。

(1) 上場株式等の配当等の場合
所得税及び復興特別所得税 15.315%・住民税5%

(2) 上場株式等以外の配当等の場合
所得税及び復興特別所得税 20.42%(地方税なし)

配当金の申告方法は3種類あります

上記の方法により計算した配当所得は確定申告の際に3つの方法により申告することができます。

①  総合課税による申告

各種所得の金額を合計して所得税額を計算するというものです。

総合課税の対象とした配当所得については、一定のものを除き配当控除の適用を受けることができます。

総合課税の税率

累進課税による所得税の税率 + 地方税10%

配当控除

総合課税による申告を選択した場合、納付すべき所得税・住民税の額から、配当控除の額を控除することができます。

所得税の配当控除の金額は下記の方法により計算します

配当所得の金額×10%

上記は簡単に説明しています。詳しくは国税庁HPを確認してください。

配当控除の対象とならない配当等

外国法人から受ける配当等は、配当控除の対象となりません。

これ以外にも控除の対象とならない配当等があります。
こちらの詳しくは国税庁のHPを確認してください。

② 分離課税による申告

上場株式等の配当等については、申告分離課税を選択することもできます。

注意

上場株式等の配当等を申告する場合には、その申告する上場株式等の配当等の全額について、総合課税と申告分離課税のいずれかを選択することになります

申告分離課税の税率

所得税及び復興特別所得税15.315%、地方税5%

③ 確定申告不要制度

配当所得のうち、一定のものについては納税者の判断により確定申告をしなくてもよいこととされています。これを「確定申告不要制度」といいます。

注意

確定申告不要制度は、1回に支払を受けるべき配当等の額ごと(源泉徴収選択口座内の配当等については、口座ごと)に選択することになります 。

確定申告不要制度の対象なる配当

イ 上場株式等の配当等及び投資法人からの金銭の分配の場合

→ 支払を受けるべき配当等の金額にかかわらず、選択可能。

ロ 上場株式等及び投資法人以外の配当等の場合

→ 一回に支払を受けるべき配当等の金額が、次により計算した金額以下である場合には、選択することができます。
  10万円 × 配当計算期間の月数(注) ÷ 12

まとめ

配当所得についての申告方法を簡単にまとめると下記のようになります。

確定申告をする 確定申告を
する
確定申告を
しない
総合課税を選択 申告分離課税を選択 確定申告不要制度を選択
借入金利子の控除 あり あり なし
税率 累進税率 所得税15.315% 
地方税 5%
所得税15.315%
 地方税 5%
配当控除 あり なし なし
上場株式等の
譲渡損失との損益通算
なし あり なし
扶養控除等の判定 合計所得金額に含まれる 合計所得金額に含まれる 合計所得金額に含まれない

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