合計所得金額の定義
2018年から配偶者控除を受けるための条件が少し厳しくなりました。
配偶者控除を受けるためには、配偶者の所得だけではなく「納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下」である必要があるからです。
つまり、配偶者の所得をいくら38万円以下に抑えていたとしても、納税者本人の所得が1,000万円を超える場合には控除が受けられないんです!
合計所得金額とは
“納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下”とお話ししましたが、では、この合計所得金額とは何なのでしょうか?
合計所得金額とは(国税庁HPより)
国税庁のHPでは次のように説明されています。
※ 申告分離課税の所得がある場合には、それらの所得金額(長(短)期譲渡所得については特別控除前の金額)の合計額を加算した金額です。
1 事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)
2 総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1の金額
ただし、「総所得金額等」で掲げた繰越控除を受けている場合は、その適用前の金額をいいます。
少し難しいですね・・・
かみ砕いて説明していきましょう。
合計所得金額
合計所得金額とは、次にあげるものの合計額をいいます。
① 確定申告書の『所得金額』の⑨欄の金額
なお、 ⑨欄には事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得、一時所得、総合譲渡所得が含まれます。
② 退職所得
③ 山林所得
④ 上場株式等に係る配当所得等
(申告分離課税の適用を受ける場合の金額)
⑤ 一般株式等又は上場株式等に係る譲渡所得
⑥ 先物取引に係る雑所得等
⑦ 土地、建物等の譲渡所得
上記①~⑦の合計金額が合計所得金額です。
では、具体的にその計算方法を見ていきましょう。
① 確定申告書の『所得金額』の⑨欄の金額
この “確定申告書の『所得金額』の⑨欄の金額 ”には、 事業所得、不動産所得、利子所得、配当所得、給与所得、雑所得、一時所得、総合譲渡所得が含まれます。
(1)事業所得
総収入金額-必要経費=事業所得金額
(2)不動産所得
総収入金額-必要経費=事業所得 金額
(3)利子所得
利子所得とは、公社債の利子や預貯金の利子などをいいます。
その年中に利子の支払い期日の到来した収入金額 =利子所得
(4)配当所得
法人から受ける剰余金の配当や、投資信託の収益の分配金などをいいます。
収入金額-原本を取得のために要した負債利子=配当所得の金額
(5) 給与所得
その年中の給与等の収入金額-給与所得控除額=給与所得金額
(6)雑所得
1. 公的年金等の雑所得
公的年金等の収入金額-公的年金等控除額=雑所得金額
2. 公的年金等以外の年金の雑所得
公的年金等以外の年金の収入金額-必要経費=雑所得金額
※この場合の必要経費とは、公的年金等以外の年金の収入金額×保険料÷年金の支払総額 の算式によって求められます。
3. 年金以外の雑所得
利子、配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時の各所得のいずれにも該当しない所得をいいます。
総収入金額-必要経費=所得金額
(7)一時所得
営利を目的とする継続的な行為から生じた所得以外の所得をいいます。
(総収入金額-その収入を得るために支出した金額-特別控除額50万円)÷2=所得金額
(8)総合譲渡所得
土地建物以外の有形固定資産の譲渡などをいいます。
売却価額-(譲渡資産の取得費+譲渡費用)ー特別控除額50万円=譲渡所得
② 退職所得
(その年中の退職手当等の収入金額-退職所得控除額)÷2=退職所得金額
③ 山林所得
山林の伐採又は譲渡による所得をいいます。
総収入金額-必要経費-特別控除50万円=所得金額
④ 上場株式等に係る配当所得等
(申告分離課税の適用を受ける場合の金額)
収入金額-原本を取得のために要した負債利子=配当所得の金額
⑤ 一般株式等又は上場株式等に係る譲渡所得
株式等に係る譲渡所得等の金額-取得価額の合計額=譲渡所得金額
⑥ 先物取引に係る雑所得等
収入金額-必要経費=所得金額
⑦ 土地、建物等の譲渡所得
売却価額-(譲渡資産の取得費+譲渡費用)ー特別控除額50万円=所得金額
まとめ
所得にはさまざまな種類があります。
収入が何から生ずるものなのか、その性質を見極めて各所得に配分するようにしてください。
そして、その所得の種類によって、所得金額の計算方法が少しずつ異なります。
各所得に配分したのち、それぞれの所得金額を計算して合計したものがその人のその年中の合計所得金額となります。
コメント