相続の申告で思う ‟アレ!?” 医療費の「債務控除」と「医療費控除」

税金のはなし

相続税の申告書を作っていると、時々あれ?って思うことがあります。

今日の、あれ!?は相続税の「債務控除」と所得税の「医療費控除」について。

「医療費」の二重控除にならないの???

被相続人がお亡くなりになったとき、被相続人の負担すべき医療費を相続人が支払った場合、その医療費はどのように取り扱われるのでしょう?

  

1. 相続税の債務控除

相続税の計算は、被相続人の相続の時点における財産から債務を控除して計算します。

相続人が支払うべき医療費を被相続人が支払った場合、その医療費については被相続人に対する「債務」となります。

その債務は債務控除として相続税の計算上、相続財産の額から控除することが出来ます。

なお、相続開始に被相続人の医療費を相続人が立て替えて支払いを行った場合についても相続税の債務控除の対象となります。

  

ちなみに・・・

相続開始に相続人が支払いを行った被相続人の医療費

→ 被相続人に対する債務

相続開始に相続人が支払いを行った被相続人の医療費

→ 医療機関に対する債務

  

2. 所得税の医療費控除

所得税の計算を行う上で「医療費控除」という制度があります。

この医療費控除の対象となる医療費には、本人の医療費だけでなく、生計を一にするものの為に支払った医療費も含まれます。

被相続人が相続人と生計を一にしていた場合、被相続人の医療費は相続人の所得税の計算上、医療費控除の対象となります。

  

ちなみに、生計を一にするとは、同居という意味ではありません。

例えば同居をしていなくても、生活費の送金が行われている場合などは、生計を一にするとみなされます。 また、同居の場合については原則として生計を一にしているとして取り扱われます(所基通2-47)

  

(生計を一にするの意義) 所基通2-47 

法に規定する「生計を一にする」とは、必ずしも同一の家屋に起居していることをいうものではないから、次のような場合には、それぞれ次による。

(1) 勤務、修学、療養等の都合上他の親族と日常の起居を共にしていない親族がいる場合であっても、次に掲げる場合に該当するときは、これらの親族は生計を一にするものとする。  

イ 当該他の親族と日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には当該他の親族のもとで起居を共にすることを常例としている場合  

ロ これらの親族間において、常に生活費、学資金、療養費等の送金が行われている場合

(2) 親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は生計を一にするものとする。

  

  

3. 債務控除と医療費控除は二重控除じゃないの!?

この債務控除と医療費控除は二重で控除しているような感じがしますね・・・

でも、それぞれ意味合いが異なり、両方の制度を利用することが出来ます

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